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コラム

【5月号④】自己不一致
【5月号④】自己不一致

 わが国の医療崩壊を憂うる立場から繰り返し国民の行動変容を訴えて、それなりに共感を得てきた日本医師会の中川会長が、自民党議員の政治資金パーティーの発起人となって、自らも参加していたことが明らかになり謝罪に追い込まれた。

 この行動のマイナスの影響は計り知れないものがある。

ただでさえ、若者を中心に我慢の限界を迎え、自粛の歯止めが効かなくなっているところへもってきて、キーパーソンの裏切り行為である。

 政治資金パーティーなどというものは、中川氏が訴えてきた不要不急なイベントの最たるものである。命を削ってコロナの最前線で闘っている医療従事者にどう申し開きをするつもりだろうか。

 彼が口にしてきた言葉は見せかけで、内心は、国民の命より自分たち医師会の利益が大事だということが白日の下にさらされてしまったのは、国民にとって不幸なことである。

 自分が内側で感じていることと表現していることが一致している場合を自己一致と呼ぶが、中川氏の場合はこの逆で、自己不一致の見本ではなかろうか。

 自己一致に基づく言動は相手の心を開かせ信頼を勝ち得るが、自己不一致では相手を振り回し、不安と不信をかき立てることになってしまう。

これから中川氏がどんなに訴えても、その言葉はもう国民には届かないであろう。

わが国のコロナ対策は、世界の中で最低レベルの状態から脱し切れてはいない。100万人当たりのワクチン接種回数は世界で118位、100万人当たりの検査件数は世界で145位である。

中川氏が真に訴えるべき相手は、我々国民ではなく、政府であり厚労省である。

国民の命を守り抜くと言いながら、オリンピックを強行しようとする政治家の自己不一致に直面して、国民のフラストレーションがたまりにたまっているところへ、火に油を注ぐような中川氏の自己不一致的行動である。

わが国の不幸は、コロナに苦しめられていること以上に、この苦難の時にバイデン大統領のような自己一致型のリーダーを持たないことではないだろうか。

しかし、嘆いてばかりでは心が病んでしまうので、心の声を表現するために自己一致の短歌を作ってみる。

 

 今一度 気を引き締めて 巣ごもらん

   医療現場に 思いはせつつ




  • Posted by 2021年05月16日 (日) | コメントコメント(0

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