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コラム

【12月号③】隠蔽体質
【12月号③】隠蔽体質

 わが国では、教師・医師・政治家は先生と呼ばれリスペクトの対象として崇められてきた。

「これらの人たちは優れた能力があり、世の人々を善導してくれる存在である。だから全てをお任せして信じてついていけば良い」と教えこまれた時代の影響で、未だにこれらの人たちへの盲信的信頼が、わが国のあちこちに色濃くへばりついている。

 一方でこれらの人たちは、この盲信的信頼の上に胡坐をかいて、時代の流れに合わせる努力を怠ったがゆえに、情報公開という当たり前のことを理解できずに、過去の時代に取り残された遺物になっているのだ。

 かつての時代感覚で、自分たちのミスや能力のなさを誤魔化し隠蔽するという醜い手段で自らの地位を落とし込めて、世の失笑を買っている。

 医療過誤原告の会で活動している知人は、39年前に2歳の娘を医師の誤診で亡くし、幾多の妨害と偏見にさらされながら、医師の隠蔽工作を突き破り、医師も誤りを犯すことがあり特別な存在ではないことを明らかにしてきた。

 自らの訴訟で勝利した後も、全国の医療事故の最前線で医師の隠蔽工作と闘い続けている。この戦いがなければ2015年に医療事故調査制度が発足することはなかったであろう。

 それでもまだ明らかにされる医療事故の何十倍もの事案が闇から闇に隠蔽されているのではないだろうか。

 教育の世界も隠蔽体質は引けを取るまい。

川口市のいじめ事件への学校・教育委員会の後ろ向きで全てを隠蔽しようとする邪な体質、自分たちの保身のみが優先されて、被害者に与えている二次被害の心の傷の深さを考えようともしない。

 そして、政治の世界も負けてはいない。

財務省の隠蔽改ざんと闘う赤木雅子さんに対して国が取った対応は、1億円で全ての事実に蓋をする認諾という手法である。これで事実は永久に隠蔽されてしまうだろう。政治的隠蔽ここに極まれりというべきか!

 医師も教師も政治家も特権的地位にしがみつくことなく、謙虚で柔軟な発想で時代にフィットしていかなければ、時代に取り残されるのは当たり前のことである。

 ある意味、先生と呼ばれる地位にあることが却って不幸を呼んでいるのかも知れない。

 教育・医療・政治の質を高めるためには、これらの三分野こそ風通しの良い情報開示が欠かせない。鋭くチェックされるからこそ質が高められ、結果として権威も守られることであろう。

〝先生〟に対する信頼はかつてない程低下している。

それは同じことが繰り返され、謙虚に反省する態度が見られないからだ。

〝先生〟も人間であり、過ちを犯す。このことを謙虚に認めるところから全ては始まる。

〝先生〟の呼称が負の呼称に変わってきているのは実に哀しいことである。




  • Posted by 2021年12月21日 (火) | コメントコメント(0

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