電話での悲痛な叫びに胸が痛むばかりであった。
地方の公立高校三年生の息子が担任教師から受けた心ない仕打ちに、母親は悲憤慷慨である。
もう1日休むと単位不足で共通テストの受験資格を失うと脅されて、起立性調節障害で朝起きるのが辛いのを我慢し、雪の中を必死の思いで登校したのに、30分遅刻したとして欠課となり、明日の共通テストは受けられないと通告されたのだ。
しかし校長裁定で、雪による交通マヒという事情を考慮して救済措置が取られ、共通テストは無事受験できたという。
それにしても担任の何という杓子定規な共感性に乏しい対応であることか。教師と言うより無慈悲な役人そのものである。
クラスの生徒の苦境を救おうという温かな姿勢がみじんも感じられない。ただただ目の前の否定面のみを見て規則で処理すれば、誰にも文句は言われないと自分の保身しか考えていないのだ。
私は教師になった時「常に子どもの利益を第一に考えろ」「否定面の肯定面を大事にせよ」と先輩に教えられた。
この生徒はこの日のために、起立性調節障害でふらつく身体を必死でこらえて、雪の中を登校したのだ。何度も途中で諦めようと思ったかもしれない。
しかし自分の未来のために、自分を応援してくれる家族のために歯を喰いしばったのだ。この肯定的な努力を認める人がいなければ、もう一度頑張ろうという意欲は湧いてこない。
表面的には否定的に見える出来事の中の、肯定面を受け止め承認する力量こそが教師に求められる力である。
彼は今の体調の中ででき得る限りの頑張りを示したのだ。お母さんには、この頑張りを最大限評価して欲しいと伝えた。
共通テスト明けには担任と教頭との面談があるが、担任との面談は断って校長との面談を希望し、息子のスペシャルタレント気質について理解を求めたいと最後は前向きに語ってくれた。
卒業できない時のためにいくつかの通信制高校のスタッフと話をしたが、その聴く力と共感性に公立高校の教師と雲泥の差を感じたという。
公立の全日制高校は、コロナ過もあって自壊の道をたどっているようだ。逆に通信制高校の人気は高まるばかりである。
否定面の肯定面を見抜く力に、天地ほどの差があるのもその一因であろう。
- Posted by 2022年01月18日 (火) |
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