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コラム

【1月号③】学力絶対主義の悲劇
【1月号③】学力絶対主義の悲劇

 愛知県の高校二年生が大学入学共通テストの当日、東大農学部正門前で70代の男性と男女の受験生に切りつける事件を起こし、大きく報道された。

 その報道の中で、ある識者の自己責任を強調する発言が気になった。

 果たしてこの事件をこの若者の自己責任のみに矮小化してしまってよいものであろうか。

 私は、この事件はわが国の行き過ぎた学力絶対主義社会が生み出したものであり、彼もまた加害者でありながら、被害者であると言えるのではないかと指摘したい。

 報道に接する限りであるが、彼は認知機能は優れていたが、非認知機能に弱さがあり、そのバランスに欠けていたようだ。

 認知機能とは、理解・判断・倫理・記憶・言語理解などテストで測れる領域で、知能と呼ばれることもある。

 一方、非認知機能とはテストで測定できない領域で、意欲・協調性・粘り強さ・忍耐力・計画性・創造性・コミュニケーション能力・切り替える力などがそれに当たる。

学力のように一人で身につけられるものとは違って、豊かなヒト体験・モノ体験・成功体験・挫折体験を通して養われるものが多い。

 非認知機能の高い人は失敗した時、次に成功させるためにはどうすればよいかを考え、成功するまで頑張ろうと前向きに取り組むことができる。まさしく切り替える力(レジリエンス)である。

 かつてこの非認知機能は、子ども時代に三つの学校で培われた。

〝遊びの学校〟〝仕事(手伝い)の学校〟〝不自由体験の学校〟である。
この三つの学校の体験が土台となって、学校教育は成り立っていたのだ。

 非認知機能という強固な根が広がって、その上に学力という認知機能が花開いたのである。根元がないのに枝や葉だけが生い茂れば、強い風が吹けばひとたまりもなく吹き飛んでしまう。

 今わが国は、子どもから三つの学校を奪い去ってしまい、学力こそが全てという歪んだ価値観を子どもたちに植え付けてしまった。それは私たち大人の責任であり、子どもたちに罪はない。彼はその歪んだ価値観の犠牲者ではないだろうか。

 今一度、学力絶対主義に警鐘を鳴らしたい。子どもたちに遊びを返そう!手伝いをさせよう!不自由体験をさせてみよう!

 勉強に縛られずにもっとのびのびと子ども時代を過ごさせるためにどうすればいいか、何ができるか国民的議論が必要だ。


  • Posted by 2022年01月21日 (金) | コメントコメント(0

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