内閣府の調査資料によると、18歳未満の子どもの貧困率はおよそ16%、ひとり親家庭の貧困率はなんと50.8%(2010年OECD加盟国34ヶ国中33位)、世界で最悪の水準である。
そして問題なのは、この貧困が連鎖し固定化し始めていることだ。
新自由主義格差社会が広がる中で、一旦貧困層に落ちると、そこからなかなか抜け出せない仕組みが生まれている。生活保護世帯の母親の学歴は、中卒が54.7%を占め、我が国の学歴社会における中卒者の苦戦ぶりが見てとれる。
政治家・タレント・医師などの高度専門職における世襲制が強まる一方で、その対極にある“貧困の世襲”も強まっているのだ。
格差の固定化が貧困の固定化につながり、努力することよりあきらめの気持ちが強まれば、社会への関心は弱まり、主権者意識も失われていくであろう。
若い世代の中で、「今の社会を良くしようとは思わない。壊れてくれた方がいい」とツイッターでつぶやく人が増えているという。それだけ、絶望感が広がっていると言えるだろう。
親の貧困によって、子どもが十分な教育を受ける機会を奪われて、限定的な職種しか選べなくなり、それがまた、新たな貧困の連鎖を生み出していくのだ。
今、私が研修会や講演会で関わっている私立の通信制・サポート校にも、一部の富裕層とは対極の、生活保護世帯を始めとする貧困層の家庭が増え続けている。
苦戦する我が子を貧困の連鎖から抜け出させるために、せめて高卒の資格だけは取得させたいという、親たちの切なる思いが伝わってきて胸が痛い。
しかし、学費を払えずに、中退に追い込まれる例も少なくない。
せめて高校までは義務教育にして、私立・公立に関わらず、学費は無償にして欲しい。
その点では、大阪府の先進的取り組みは評価できよう。
貧困層では、今、高校に通わせるだけで精一杯で、大学まで進学させる余裕はない。
生活保護世帯の大学進学率は、15.6%でしかないのだ。
貧困の連鎖は、結局税収の低下につながり、生活保護費を始めとする生活支援に多額の税金投入が必要となる。今をけちることで、将来的に何倍もの支出につながり、国を疲弊させることになるのだ。
格差社会は、日本から未来を奪う。
全ての子どもたちが経済的な心配をすることなく、学びたいだけ学べる社会であってほしい。
富裕層のみいくら支援しても、トリクルダウン(上から滴が落ちてくる)は実現しない。
内部留保をため込んでいる大企業に減税したり、防衛費を急増させるお金があるのなら、貧困層の子どもたちへの直接的な支援を強く求めたい。
それにしても、安倍首相の海外での景気のいいバラマキにはあきれ果てる。国民の税金を自分のお金と勘違いしているようだ。
まず支援が必要なのは、わが国の子どもたちではないだろうか。
- Posted by 2015年01月31日 (土) |
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