労働者協同組合(ワーカーズコープ)法案が、秋の臨時国会で議員立法によって成立する見通しであるとの報道は、久々に心踊るものがあった。
国会で成立する法案は、安保法制や働き方改革法案など、庶民の願いとは程遠い悪法が多く、政治に対する不信感が募っていたが、今回の法案ばかりは、是非とも成立させて欲しいと願っている。
働く人自らが出資し、その運営にも携わるという協同組合方式は、働く側が主体的に仕事を創り出し、搾取を防ぐという意味で、行き過ぎた新自由主義に風穴を開けてくれるものと期待したい。
折しも、10月13日最高裁では、非正規雇用者の賞与・退職金を認めないという驚くべき判決が下された。同一賃金・同一労働という流れに逆行するもので理解しがたい判決である。
働く人の4割近くを占める非正規雇用者2000万人の人々はボーナスも退職金もなく、正規雇用の人々以上に働くだけ働けというのでは、江戸時代の〝生かさず、殺さず、搾り取るだけ搾り取れ!〟という圧政支配のやり方と同じである。
かつて企業は、社会的公器という役割を果たすべく、社員を家族の一員のように扱い、ボーナス・退職金は勿論のこと社宅も完備し、様々な福利厚生も整えていた。
しかし、アメリカから押しつけられた新自由主義は、企業は株主の為に利益を追求するものとされ、働く人の待遇は切り下げられ、いつでも使い捨てされる存在とされてしまった。これでは安心して子どもを産むこともできない。
いつの間にか働く人のための労働組合は影響力を失い、企業の好き勝手を牽制する力も弱くなってしまったようだ。
そういう中にあってのワーカーズコープ法案である。
人手不足の第一次産業や伝統工芸の再生など地方の活性化に期待がつながるとともに、高齢者・独居世帯の買い物・通院のサポートや話し相手、イベントの手伝いなど、いままで地域で最も必要とされながらも生産性が低いと切り捨てられてきた福祉の分野にも光が当てられるであろう。
そして何より、働く者一人一人が主役となれるこの働き方が実現すれば、空気が読めない、コミュニケーションに偏りがあるなどとして、企業社会になじめず社会的差別を受けてきたST気質の人たちや引きこもりの人たちにとっても、人としての尊厳の回復につながる好機となるであろうと期待できる。
大きく育て!ワーカーズコープ!
- Posted by 2020年10月15日 (木) |
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