アメリカ大統領選挙は民主党のバイデン候補が僅差で勝利し、アメリカの民主主義が辛くも首の皮一枚で繋がったようである。
それにしても、トランプ大統領の熱狂的支持者たちの白人至上主義という超保守的閉鎖的価値観には驚かされるものがある。アメリカに広がっていく多様性に我慢ならないようだ。
移民をさまざまな理屈をつけて拒否することでこれ以上の多様性を拒否し、白人の優位性にしがみついているように思える。
それは、自分たち白人の祖先が銃を手にして命がけで独立を勝ち取ったのだから、この国で優越的な地位を保障されて当たり前という意識のあらわれであろう。
しかし、そこには大事な視点が抜け落ちてはいないだろうか。アメリカの国土は誰のものであったかということである。
私も幼い頃、ジョン・ウェイン主演のアメリカ映画を観て、インディアンと闘う騎兵隊を正義の味方として応援したものであった。しかしそれは哀しいことにアメリカのプロパガンダに乗せられていただけのことであった。
事実は、平和的な生活を営んでいた先住民の居住地を白人が銃で奪い、先住民を追い払ったのである。更にはアフリカ系の黒人奴隷を使役して国の基礎を築いていったのがアメリカの歴史である。
自分たちの優位性を脅かす多様性を憎み、過去の栄光にしがみつき変化に対応できない小児性と、そこに付け込んで憎しみと差別をかきたてるトランプ大統領の小児性は共通のものであり、アメリカの心の病と言ってよいであろう。
わが国でも多様性を受け入れることができず、夫婦別姓、女系天皇、LGBTに否定的な人々がいまだに指導層の多数を占めている。
多様性があってこそ社会は活性化し、発展する。アメリカのハーバード大学では、人と違った体験・価値観を持つ若者を積極的に入学させるという。同じようなタイプばかり集まっても議論も深まらないし、新しい発想も発見も生まれないからだ。多様性のないところに社会の発展はない。
多様性を揚げながら、実際は学術会議の多様性を踏みつぶそうとする支離滅裂な行為は、アメリカの白人至上主義と同じで、多様性に恐れを抱く小児性の表れではないだろうか。
これからの世界は、多様性と差別主義という二つの潮流の激しいせめぎあいが続きそうである。
- Posted by 2020年11月15日 (日) |
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