今年9月、早稲田大学人間科学部通信制を7年半かけて一人の若者が卒業した。卒業論文は30,000字に及ぶ大作であり、その熱のこもった研究ぶりに関係者から賞賛の声が上がっている。
その若者の名前は、羽生結弦。
フィギュアスケート選手として、冬季オリンピックにおいて二大会連続金メダルを獲得し、国民栄誉賞にも輝いた人物である。
高校卒業後はカナダに練習の拠点を置き、国際大会を転戦しながら、その合間をぬってレポートを作成し続け、時間はかかったものの充実した学生生活を送ったようである。選手生活と学生生活の両立は大変だったと思うが、後輩たちにとっては大きな励みとなろう。
今わが国のスポーツ界でトッププレイヤーとして活躍している選手の中で、通信制高校の在籍者や卒業生が増え続けている。
女子プロゴルファーとして海外を転戦している畑岡選手、今年鮮烈なデビューを果たした笹生選手も通信制高校出身であり、フィギュアスケート女子の紀平選手は在籍中である。
今までも何度も書いてきたが、若者たちに多様な学びの場を提供するのは大人の責任である。しかし、大学で言えば四年生普通大学のみがイメージ化され、夜間部や通信制課程は隅に追いやられてしまっている。もっと、メジャーな進路として、その存在がクローズアップされていい。
今から半世紀前、私の高校の仲間たちは、新聞販売店に住み込んで働く新聞奨学生や夜学生、そして通信制で学ぶ者と様々で、それぞれが向学心に燃えていた。そして、その後の人生においても多方面で活躍の場を広げていった。要は、羽生選手のような向学心次第なのだ。
若者たちが自分のニーズに合った進路を主体的に選択し、その進路をゴールとするのではなくスタートとして、自分に合った学び方を通して納得のいく専門性を伸ばして欲しいと願っている。
何はともあれ、羽生選手の卒業に敬意を表したい。おめでとう!
- Posted by 2020年11月25日 (水) |
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