森オリパラ組織委員会会長の女性差別発言が世界に発信され、わが国が多くの分野で世界の潮流から取り残され、周回遅れになっている現実が浮き彫りになってきている。
特に男女平等の実態を示すジェンダー・ギャップ指数は、2020年版で153か国中121位であり、G7では断トツで最下位である。
この実態に、男女平等・多様性の重視を掲げるオリパラの主催国として果たしてふさわしいのか疑問符が突きつけられているのだ。
今回の森会長の発言でも分かるように、わが国は相変わらずおっさん型のムラ社会が幅をきかせている。政治とスポーツの世界に特にそうだ。
スポーツムラが長年目指してきたのは、目上の人間や指導者に対して盲目的に従い、常に立場を〝わきまえて〟忖度できる人材の育成である。
要は理屈を言う人間にはなるな!自分の意見を言うな!いざという時には、小賢しい議論より行動あるのみ!と、陰に陽に刷り込まれるのだ。
かつては大学の運動部であれば、就職の心配はないと言われていた。運動部の先輩たちが協力に引っ張ってくれ、自分たちの縦のラインに組み込んでくれるからだ。
そして、そういう〝わきまえた〟社員たちがモーレツに働くことで、わが国が一時代を築いたことも確かであろう。
しかし、このような人材システムや、〝わきまえた〟働き方という歪んだ成功体験が、わが国の働き方改革や多様性の受け入れ、ジェンダー・キャップの一掃という世界的な流れの足かせとなっているのだ。
森会長は、おっさん型ムラ社会の象徴であり、スポーツムラの代表である。民主主義を理解できず、多様性を拒み、〝わきまえた〟仲間だけで、これまでのようにこの国をずっと支配し続けたいと願ってオリンピックにしがみついているように見える。
しかし、物事は必然である。彼の発言は、新しい時代への地殻変動に焦りを感じ追いつめられた挙句のムラ社会の住人たちの本音である。偶然飛び出したものではないのだ。
彼の発言によって、ジェンダー・ギャップ解消に弾みがつき、少しでも世界の潮流に追いつくことがきるのならば、森会長の存在もマイナスばかりではないといえようか。
- Posted by 2021年02月08日 (月) |
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