家族支援メンタルサポート協会〜家族を支援する力を身につけたいと願っている多くの皆様へ〜 

サイト内検索 ホームページ制作・スマホサイト制作・CMS サイト管理画面

協会だより

ホーム > コラム > 【12月号④】子ども・家庭庁

コラム

【12月号④】子ども・家庭庁
【12月号④】子ども・家庭庁

 私は20数年前から〝子育て省〟の設置を提唱してきた。

 子育てを家庭に押しつけるのではなく、子育てを社会全体で行う〝子育ての社会化〟が必要だと考えたからだ。

 しかし、「子育ての社会化などはとんでもない。子育ては家庭が責任を負うべきものであり、特に3歳までは母親がそばに居てあげるのが心身の発達には望ましい」などと批判を浴びたものである。

 子どもに一番必要なのは周囲の愛情であり、頭を撫でてもらう、抱きしめてもらう、褒めてもらう、認めてもらうなどの愛着を感じる愛着関係が得られることである。

 たとえ親元に居ても、この愛着関係が確立しなければ愛着障害を引き起こし、思春期以降、人を愛せない、信頼できない、甘えることができない、適度な距離が取れない、自尊感情が低く心が折れやすいなど、ネガティブな後遺症に苦しむことになる。

 とりわけ、親から虐待を受けた子どもは自尊感情が低く、負の家族連鎖に巻き込まれやすいのだ。

 伝統的家族観の持ち主たちはよく〝家族〟〝家庭〟を絶対的な存在として持ち出すが、どんな家族をイメージしているのだろうか。 

 夫は外で働き妻が家事育児を分担する性別分業論に沿った核家族、又は三世代同居の大家族を、守るべき家族の形の理想としているのであろう。

 しかし今、家族の形も多様化し、離婚家庭、再婚家庭、ステップファミリー、事実婚、同性婚、シングルマザー、里親家庭と様々な形がある。孤立化することで家族が病理に見舞われる機能不全家族も増える一方である。

 家庭が子どもの安全基地であるとの思い込みは幻想である。学校と並ぶストレスの場であり、親の支配に苦しむ空間となっている。

 ネグレクト、DV、アダルトチルドレン、ヤングケアラー、教育虐待、母子依存などなど、家庭をベースにした病理は枚挙にいとまがない。家庭こそ病理の巣でもあるのだ。

 私の経験で言えば問題のない家庭などは存在し得ず、全ての家庭が何らかの支援を必要としており、伝統的家族観の持ち主たちがしがみつく家庭力は消失してしまっているのではなかろうか。

 子育てと家庭を切り離して時代に合わせた政策を立案するのではなく、あくまでセットにして子どもは家庭で育てるものという伝統的家族観にこだわりたいのだ。これが〝子ども庁〟ではなく〝子ども家庭庁〟にすり変わってしまった背景であろう。これでは今までと何ら変わらない。

〝子ども庁〟であって初めて、伝統的家族観に縛られることなく家庭にこだわらない子どもへの多様な支援(保育・教育の無償化、里親制度の拡充、児童養護施設での愛着関係の強化、子どもの自由な遊びの保障、子ども食堂など)が縦横に展開できるのだ。

子育ては社会の総力を挙げて行うべきで、家庭に押しつけるべきものではない。わが国の政策課題の一丁目一番地である。

縦割りを解消した本格的な〝子ども庁〟の発足に大いに期待していたが、それが、厚労省の所管の一部を移しただけの〝子ども家庭庁〟では肩すかしを喰った気分である。

今からでも遅くない。全ての子どもが安心して愛着関係を体験できる子本主義社会の実現に向けて〝子ども省(子育て省)〟への昇格を強く要望したい。




  • Posted by 2021年12月26日 (日) | コメントコメント(0

この記事へのコメント

コメントコメント投稿

お名前:
メール:
URL:
コメント:
 

※コメントは承認制のため、投稿をしてもすぐには反映されない場合があります。ご了承ください。

※スパム対策の為、お名前・コメントは必ず入力して下さい。

※記事が削除された場合は、投稿したコメントも削除されます。ご了承ください。


ST(スペシャルタレント)気質

森薫の書籍コーナー

良くある質問

応援メッセージの紹介

講演依頼について

カウンセリングの受付について

お問い合わせ

TELTEL042-306-0807
FAXFAX042-306-0807

一般社団法人家族支援メンタルサポート協会
担当:赤坂 明日香

住所:東京都東村山市多摩湖町3-4-13

詳細はこちら