文科省が全国一斉に実施している学力テストが、家庭に新たなストレスを与え始めているようだ。
13万人をピークに減少傾向にあった小中学生の不登校が、昨年、7,000人も増加した。
その背景に、学力テストの影響があるのではないかと心配している。
学校生活で、苦戦している小学生を持つ母親たちの話を聞く機会が多いが、昨年から今年にかけて学校の雰囲気ががらりと変わったと異口同音に訴えられる。
学校からゆとりが消え、校長の発言も学力一辺倒になってきているという。
子どもたちが楽しみにしていた朝の読み聞かせが、ドリル学習の時間となり、放課後にもドリルの時間が設定されたというのだ。
学校挙げて、学力アップの取り組みが強化されているようである。
当然の如く、毎日の宿題量も増え、今年は昨年より、5割もアップしているという。
その為に、宿題をやり終えるのが夜半になり日付を超えることも少なくないというのだ。
泣きわめく子どもを𠮟りとばしながら宿題をやらせているうちに、子どもの夜尿や夜響が再発したり、朝、なかなか起きられなくなって、遅刻が増えたりと、家族が宿題に振り回されて、何とかぎりぎり保たれていた家庭の平和が脅かされているといえそうだ。
塾通いもして、宿題も増えるとなれば、子どもたちのゆとりはなくなり、家族との会話の機会も減る一方で、ますます自分の思いを言葉にするコミュニケーション能力は低下することになろう。
また、家族の一員として、何の役割も果たさない家庭内失業状態は、更に拍車がかかり生きる力も低下する一方である。
ドリルによる計算力がいくらか身についたとしても、人間として最も大切なコミュニケーション力や、誰かのために役立とうとする生きる力が奪われるのであれば、あまり意味がない。
先進諸国では夏休みも含め宿題が出ない国が圧倒的に多い。
勉強は学校で行い、家庭は家族同士のコミュニケーションの場であり、家族の一員としての役割を果たし助け合う場であり、心身のエネルギーを回復する場である、という考えである。
しかし、わが国では、学校が家庭に浸食を繰り返し、家庭を次第に学校の下請け機関にしてきた。家庭の学校化である。それが、更に強まっているのだ。
子どもにとっての安らぎの場所は、もうどこにもないといえよう。
子どもたちが居場所を喪失した状態では、子どもたちの病理だけでなく、母親たちの病理も広がるであろうことは自明の理である。
私は、家庭の防衛策として、次のようにアドバイスしている。
① 学校に対して、“宿題半分返上宣言”ないしは“宿題返上宣言”をすること
② 宿題の量を家庭で主体的に決めること
③ 学校の宿題の代わりに、自主課題を提出すること
✤ 絵・書写
✤ 手づくり作品
✤ お菓子・クッキー、料理(写真に撮る)
✤ パズル
✤ 詩・作文
✤ 英会話・朗読(音声にとる)
などなど
苦手な勉強を、家に帰ってまでその子の能力を超えて、画一的に宿題として強制されるならば、ますます勉強嫌いを増やすだけである。
それより得意なものを思い切りやらせる方がいい。
そうすれば、ほめられることも多くなり、もっと伸びる。親子の対立もなくなる。
得意な分野が伸びれば、心身のエネルギーが蓄積され、苦手な勉強にも取り組めるようになるはずだ。
- Posted by 2014年08月30日 (土) |
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