私が日々、接しているST(スペシャルタレント)気質の若者たちに共通するのは、ひらめきと、強いこだわりである。そのひらめきとこだわりが、豊かな五感力と結びついた時には、輝かしい未来を手に入れることができるが、人間関係でつまづいてしまうと、逆にこだわりが仇となって、病理に陥ることも少なくない。
ST気質の若者が輝く未来を手に入れるためには、思春期までに、徹底してこだわれる対象に出会い、それを応援してくれる応援団に出会う必要がある。
あの全米オープンテニス大会で、日本中を熱狂させた錦織選手は、徹底したこだわりの人である。
ラケットの網の強度を、一試合に何度も調整させてみたり、ラケットのグリップ部分がカラーだと視野に入って気になるからと、白に替え、網の中心に入っているスポンサー企業のロゴマークも、薄い色に替えさせたりと、そのこだわりは半端なものではない。
幼いころから、散歩に出かけると、よく迷子になったという。
それは、頭の中に次々にひらめくものがあって、そのことに夢中になってしまうからである。
特にテニスを始めてからは、上達するにはどうすればいいかを考える余り、どこまでも歩き続けて、周囲を心配させることが多かったといわれている。
このようなスペシャルタレントの子どもたちは、均一化・画一化を要求される学校生活が苦手である。規格外の能力を持つからだ。
また、上下関係と、チームワークを最優先する集団主義の部活動では、スペシャルタレントの若者たちがつぶされてしまうことが多い。
そのことを恐れた錦織選手の両親は、13歳で我が子をアメリカに旅立たせたのだ。
アメリカは、上下関係もゆるやかで、コミュニケーションがシンプルである。
YES・NOをはっきり伝えることが求められ、二人称もYOUのみで済む。
空気を読む必要がなく、本音と建て前を使い分けたり、むやみにへりくだる必要もない。
部活動の上下関係や同級生との人間関係にエネルギーを使うことなく、専門分野にエネルギーを注ぎ込むことができるのだ。
そういう意味で、ST気質を持つ錦織選手は、理想の思春期環境に出会ったといえるだろう。
水泳の北島浩介選手も、ST気質だと思われるが、彼はあえて水泳部のない中学・高校を選んで、自らコーチを探しその指導を受けている。
第2、第3の錦織選手を育てるためには、今の我が国の画一的な教育システムでは限界がある。
何よりも、子供たちの個性を面白がり応援するシステムが必要だ。
勉強だけが全てではない。学力も集団適応力も、人間の能力の一部でしかないのだ。
ひらめきがあって、こだわりの強いST気質の子ども・若者の個性と能力をもっと面白がって応援して欲しい。
最初に枠組みありきで、その枠組みに子どもたちを押し込め合わせさせるのではなく、ホームスクール・フリースクール・チャータースクール等、子ども一人一人の能力に合わせた枠組みを作る必要がある。
又、自分の得意分野へのこだわりを応援してもらえる通信制中学校の出現も待たれるところである。
今まさに教育ビックバンの時を迎えている。
<お知らせ>
- セミナー『多様な教育の展開をめざして』
日 時 : 11月17日(月) 2:30より
場 所 : 衆議院第二議員会館会議室
主 催 : 新しい学校の会
お問合せ : 学びリンク(03-5226-5256)
興味・関心のある方は是非ご参加ください。
- Posted by 2014年09月30日 (火) |
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