いくつかの苦戦する家族が集まる“おしゃべり会”に参加させてもらっている。
このおしゃべり会は参加資格もなく、特別な会費もいらない。毎回参加する義務もない。
要するに、縛られるものは何もないということだ。
ただ約束事として、① ここで聞いたおしゃべりの中身を外部に漏らさない ② 宗教の勧誘、物品のセールスに利用しない ③ 個人情報を他に流さない等。
そして、① 一人の人が話を独占しない ② 人の話を取ってしまわない ③ 人を批判したり説教しない ことなどが、おしゃべりのマナーとして求められる。
簡単に自己紹介し合った後は、3~4人のグループになって、溜まっている思いを吐き出し合えばいい。苦戦している母親同士、“あるある話”で苦戦しているのは自分だけじゃないと、心が軽くなっていく。
おしゃべりする側は、聴いてもらうことで受容してもらえる幸せを感じることができるし、聴いてあげる側は、自分が聴いてあげることで相手に役立っているという承認欲求が満たされ、幸せを感じることができるのである。おしゃべりをする側も、聴いてあげる側も共に幸せにするのが、おしゃべり会の最大の効用である。
初めて参加する母親の、最初はやや硬かった表情もみるみる和らいでいく。そして、あちこちで笑い声さえ上がり始めるのである。
母親の多くが苦戦のど真ん中であることが多いが、中には、その苦戦から抜け出し始めている母親、更には、抜け出したサバイバーと呼ばれる母親たちがいる。
その母親たちの体験してきた道筋は、現在苦戦中の母親たちにとって、これ程心強いものはない。
自分も今のこの泥沼から抜け出せるはずだと、大きな励ましになるのである。
薬物依存、アルコール依存から抜け出すために、最も大きな力になるのが、同じ仲間たちの集まりであり、抜け出した先輩たちの励ましであると言われている。
人生経験の少ないカウンセラーにカウンセリングを受けるより、この共通体験を持つ仲間たちとのおしゃべりこそが、即効性のある治療と言えるかもしれない。
小中学校時代、いじめにあって不登校になった子供たちがフリースクールや通信制高校・サポート校で、生き生きとした姿をよみがえらせることが多いのも、同じことであろう。
同じ体験をした者同士、“あるある話”は大きな安心感を与え合うのだ。
全国の家族支援カウンセラーの皆さんには、是非、自分の地域でおしゃべり会を企画して欲しいと願っている。
そして、そのおしゃべり会がいくつかのおしゃべり会を生み出し、そして、更にそのおしゃべり会が新たなおしゃべり会を生み出していくということができれば、全国津々浦々に、苦戦する家族のおしゃべり会が生まれることになる。
私も、おしゃべり会の種を蒔くために全力を挙げたい。
- Posted by 2015年05月21日 (木) |
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