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コラム

【3月号】発達障害というバイアス
【3月号】発達障害というバイアス

 「障害」を「障碍」と表記できるように障害者団体が求めていた「碍」という文字について、文化審議会国語分科会の小委員会は、常用漢字に追加することを見送ることに決めたそうだ。

 「害」を受け入れがたいと感じる人は少なくない。害は、害虫、害悪、危害、災害など否定的な気分をかき立てる用語が多いからだ。

 しかし漢字を変えたり平仮名にしたところで、「しょうがい」という言葉は日本人に刷り込まれてしまっている。呼称が変わっても、わが国の差別構造が変わらない限り本質的な解決にはならない。

私は発達障害という呼称が、教育界やその周辺で安易に使われ独り歩きすることにずっと強い懸念を抱いてきた。
ここ数年は、大人の発達障害をテーマにした新聞・テレビの特集や記事も目立つようになってきている。このままでは発達障害という否定的な呼称が定着してしまいそうで危機感を強めるばかりである。

2005年に発達障害者支援法が制定されたことによって、発達障害で指導を受けている公立の小中高校生は、2006年度は1万人足らずだったのが、2009年度は92,000人近くに増えている。

 これまでちょっと風変わりではあるものの普通に存在していた子どもたちが、発達障害の名の元に治療や療育の場に押し出されているのだ。そして、集団になじめない自分を治すことを要求され、ストレスを溜めている。

 学校においては普通学級の世界が絶対であるという神話にしばられ、発達障害の子どもたちはそこに適応できないはみ出した存在、ないしは劣った存在とみなされて疎外されるのだ。人より優れた部分はたくさんあっても、その部分はスルーされ否定的な部分がクローズアップされてしまう。

 企業社会も同じである。「空気が読めない」「あうんの呼吸が理解できない」など、企業社会での〝普通〟の御旗を楯にして「わきまえろ!」とプレッシャーをかけ続けるのだ。このわが国独特の「空気を読み合う」「忖度をし合う」コミュニケーションは、わが国では多数派かもしれないが、世界では完全なマイノリティで、決して普通ではなく時代遅れの産物である。

 発達障害の子どもたちに一方的に変わることを要求するのではなく、変るべきは周囲である。わが国の発達観が、多様性を認め合い違いをリスペクトし合うという世界の潮流から取り残されていることの自己認知が必要だ。

子どもたちをわが国独特の普通基準で判断し、その普通に適応できないことをもってして障害と見るのか、人にない特別の才能であるとリスペクトするのでは、子どもたちの学校生活も未来も大きく違ってくる。
 

 私は、わが国の普通同調圧力の強い学校生活になじめない子どもたちに、豊かな五感力をベースにした多方面の才能が内在することに気づき、彼らをリスペクトして〝スペシャルタレント〟と呼んできた。決して障害などではないのだ。特別な才能である。

 教師が子どもをあるがままに受容し、その才能に期待を寄せると、〝ピグマリオン効果(教師期待効果)〟が出現する。どんどん能力が開花するのだ。

 逆に教師が否定的な評価で接すると、子どもは委縮して心理面でも追い詰められていくことになる。

 発達障害という呼称は百害あって一利なしである。発達障害という否定的呼称によってバイアスがかかり、負の〝ピグマリオン効果〟を生じさせてしまうのだ。

 発達障害というレッテルを貼って一旦排除の論理に立ってしまうと、排除される人は増えるばかりできりがなくなるだろう。なぜならスペクトラムははっきりしたラインで境界線を引くことができないからだ。みんな少なからず発達に偏りはある。

 わが国でもあらゆる格差・差別についてマイノリティからの反撃が開始されている。もっと大きなウェーブに発展することを願うばかりである。

 〝普通〟と〝障害(邪魔者)〟という概念についても根源的な問い直しの時期に来ているのではないだろうか。




  • Posted by 2021年03月07日 (日) | コメントコメント(0

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