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コラム

【3月号④】いじりといじめ
【3月号④】いじりといじめ

 私はいじりと呼ばれる芸風が好きではない。

いじりは弱者に向けたからかいであり、上質な笑いとはとうてい思えないからだ。

確かにテレビの世界では、番組の進行役を担っている有名芸人からいじってもらうことで顔が売れることもあり、「いじりごっつぁん!」と喜ぶ気風があることも承知している。

「愛あるいじり」や「本人もいじられることを芸風にしている」ことで、とやかく言われることではないとの考え方も強いようだ。

 しかし私は今、地上波のテレビをほとんど見なくなった。お笑いタレントたちによる「いじり、いじられ」のバラエティー番組が席捲しているからだ。

芸人の身内だけの集まりであれば、社会への影響はない。しかし、多くの子どもたちが見るテレビ番組なのだ。いじりと呼ぶ子どもたちのからかいがいじめを後押ししていると思うのは、一方的な見方であろうか。

なぜ私がいじりを嫌うのか。それは私が不愉快極まりないからかいを受け続け、思春期の屈折を大きなものにしたからだ(私が幼い頃〝いじり〟という言葉はなく〝からかい〟と呼んだ)。

私は四人兄弟の三番目として生まれた(長男は満州で餓死)。兄と弟に比べて、私の顔の造作は大きく違った。二人は目は二重で、鼻筋も通り整った顔立ちをしていた。俗に言う美男子である。

それに引きかえ私の顔は不細工であった(幼い頃から周囲にそう言われ、そう強く思い込んでいた)。

 逆さまつ毛に、ほとんど閉じたような腫れぼったいまぶた、線を引いたような細い目、たらこのような厚い上唇に、その上に見事に垂れ下がった八の字眉、これらが幼い頃から大きなコンプレックスとなり、思春期が近づくと更にそのネガティブな思いは強くなった。

小学校時代から上級生たちに、その頃流行っていた美樹克彦の〝かおるちゃん、遅くなってごめんね〟という歌に引っかけて「かおるちゃん遅くなってごめんね、今何時?」「820分!」「いや725分だろう」とからかいの対象にされた。

中高の野球部では、先輩の説教を聞く時の私の顔に対して「もっとしまった顔をしろ!お前は俺たちをなめてんのか!お前の顔は人をバカにした顔なんだよ!」という怒声が飛び、悔しい思いをすることが度々だった。眉毛が下がっているが故に笑っているように見えてしまうのだ。

小さい頃からけんかが強いと言われ、数々のけんかをしたが、ほとんどが顔立ちへのからかいが理由であった。からかわれる度に、それを悪意ある嫌がらせと判断して仕返しをするものだから、小学生でも中学校でも最も乱暴な生徒というレッテルを張られてしまった。

そして、ひそかに想いをよせる女子には危ない存在として距離を置かれてしまい、顔立ちへのコンプレックスは更に強まり、自己否定感の強い思春期になってしまった。

芸人たちにとっては、いじりはステップアップのために必要悪かもしれないが、それを見て傷つく人がたくさんいることをテレビ界の人々は知ってほしい。

電通の佐々木氏のオリンピッグのアイデアは偶然の産物ではなく、わが国のテレビ界がどっぷり浸かった人権軽視、受けるものであれば何でもいいという歪んだ商業主義がもたらした必然の産物であろう。

一部の芸人・タレントに「まだ内々のアイデアであり、外に漏れたことこそ問題だ」という擁護論を展開するものがいたが、やはり人権感覚が鈍いのではないだろうか。同じ穴のムジナと言えようか。テレビの世界は時代の流れについていけていないようだ。

 

いじめた側の子どもたちの殆どがいじめを否定し、いじりであったと主張する。テレビから学んだ都合のよい言い訳である。しかし、どんな言い訳をしてもいじられた側がそこに悪意を感じ、心を傷つけられるいじりはいじめに他ならない。

笑いは人を幸せにする上質なものであってほしい。コロナ禍だからなおさらだ。




  • Posted by 2021年03月28日 (日) | コメントコメント(0

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