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コラム

【12月号】子どもを守るために

 今回の衆議院議員選挙では、事前の予想通り自民党が大勝した。

今後この自民党に、改憲派の維新の会、民主党の右派までが一緒になれば、憲法改正に必要な、衆参の議席の三分の二を超えてしまう。そうすれば、国防軍創設のために、徴兵制の復活も、そう遠いことではなくなるであろう。まさしく、いつか来た道、戦前に逆戻りである。“日本をとり戻そう!”という自民党のスローガンが“戦前の日本をとり戻そう!”と聞こえたのは私だけであろうか。

 これからは、老朽化し危険極まりない原発も維持され、不景気のどん底であるにも拘らず、増税も強行され、戦争の不安にもあえぐことになるのだ。そんな世の中になれば、一番犠牲になるのは子どもである。

今、戦争に出すために、子どもを生もうとする若者たちがいるだろうか。たった一人のわが子をむざむざ戦争に奪われるくらいなら、生まない道を選ぶ若者も増えるに違いない。ただでさえ、経済が疲弊し、安心して子どもを生むことができないために、一人っ子が激増している。戦争への不安が募れば、益々少子化に拍車がかかることになる。

 声高に、国益・国防を叫ぶ人たちよ。あなたたちが叫ぶ国益とは何ですか。誰を守るための国防ですか。戦争を好むあなたたちの存在こそが、国益を損なう元凶ではないでしょうか。子どもが生まれなくては、徴兵制も意味を成さなくなるし、54基の原発のどれか1つにでもミサイルがぶち込まれれば、日本は消滅してしまう。そんな簡単なことに考えが及ばないのは情けない話だ。

 先の戦争では、“お国の為”と言いながら、実際には一部の財閥と軍部の利益のためだった。それは原発神話と同じように、国民を軍・官・財・マスコミが一緒になって洗脳した結果であった。今の世相は、日本が戦争に向かう前夜と酷似している。政・官・財・マスコミの全ての品格が劣化しているが、特にひどいのがマスコミである。マスコミが権力者の広報役になった時に、国は滅ぶ。

 このままでは、わが国に未来はない。しかし、唯一、可能性があるのは、子どもを守る母親の存在である。先の戦争で、最も心を痛めたのは、愛するわが子を戦争で奪われ、空襲、原爆で殺されてしまった母親たちである。故に、戦後、母親たちは、「再びわが子を戦場に送るまい」と平和運動に立ち上がったのだ。その母親たちの闘いが、その存在が、権力者をして、憲法改正を思いとどまらせてきたのだ。男たちに政治・経済の主導権は預けても、戦争だけは絶対にさせないという強い意志である。

 今回は、弱者を守るという約束をことごとく裏切った民主党への幻滅から、その反動として、日本を崩壊させた反省なき自民党が勝利しただけのことである。決して、戦争をすることを許容したわけではないのだ。ここ23年が、わが国にとって大きなターニングポイントになる。

男たちの、浅はかで中身のない大言壮語に振り回されることなく、母親たちは、次の選挙では必ず好戦者に鉄槌を下して欲しい。わが国の母親たちの底力が問われていると言えよう。子どもを守るために、しっかり、眼を見開き、しっかり耳を広げて、きちんと意思を表明して欲しい。子どもを守るために、必要な力、それは草の根の“平和と民主主義”。

私も及ばずながら闘い続けたい。




  • Posted by 2012年12月23日 (日) | コメントコメント(0

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