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コラム

【5月号③】部活動の光と影

 日大アメフト部の常軌を逸したタックルが大問題となっているが、あの事件は、わが国の体育系部活動の光と影を象徴的に示したものだと言えそうだ。

 

 日大アメフト部監督の権限は絶対的で、15人のコーチを含めて150人の部員は、絶対服従を強いられる独裁体制であったという。

 そしてこの監督の指導方針は選手を精神的に徹底的に追い詰め、その高いハードルを越えたものだけに試合の出場を認めるというもので、ある意味脅迫による洗脳であり、選手のロボット化である。

このやり方では、チームは一時的に強化されても、心身ともに壊されていく犠牲者も続発する。

どれだけの若者たちがこの監督の野心や野望のために犠牲になったことだろう。考えただけでも身の毛がよだつ思いがする。

 

 わが国の大学の体育系部活の多くが、上位下達・絶対服従システムで運営されている。

監督の指示は絶対であり、先輩・後輩の上下関係も厳格である。

 

 指示されたことに忠実で、体力もあり、その上で協調性も備わっているとあって、わが国の企業は競って、大学の体育系部活動の出身者を採用してきた。今でも、そのニーズは大きいようだ。

ある意味、企業の求める都合の良い人材の供給源であり養成機関と言えるだろう。

 

 そのような人材を社会に送り出す部活動の指導者たちは、大学において大きな力を持つことになる。

実際に、あの日大の理事長は、かつて日大相撲部の監督としての輝かしい実績を背景に、日大の最高権力者としての地位を獲得した人物である。

今回の事件の中心にいるアメフト部の監督は、この理事長の側近であり、常務理事として大学の人事、予算の配分など大きな権限を持っていると言われている。

 

 今回の悲惨な事件は起こるべくして起きたパワハラ事件である。

権力を持つ人間は、その権力の行使に当たっては、抑制的でなければならない。

にもかかわらず、わが国の権力者の権力行使は、タガが外れたように横暴になってきている。

財務省トップのセクハラ事件も、安倍首相のモリ・カケ問題も根っこは同じである。

権力者が権力を利己的に行使しているのだ。

 

 スポーツの主人公は監督やコーチではない。選手こそが主人公なのだ。

スポーツは子どもの遊びと同じように、大人の遊びとして楽しむために生まれたものだと言われている。それが、苦痛を強いるだけで心身の健康まで損なうとすれば、本来の目的を逸脱していると言えよう。

 

 私もかつて、中学校の部活動の指導をしていたことがあるが、40才の頃から、教師になりたての頃の高圧的な指導を反省し、部活自治の旗を掲げて、子どもたちが将来スポーツの主人公としてスポーツを楽しむことができる力を育てようと心がけた。

 

 学校を卒業し社会に出ると、人集め、活動場所の確保、試合の相手探し、活動費の捻出など、自分たちで解決しなければならない課題が山積みとなる。

学校時代の部活動のように、無料で施設を使うことができ、指導者の指示に盲目的に従っていれば済むというわけにはいかなくなるのだ。

 みんなで議論して、みんなで決めるという民主主義的力量も必要になる。

 

 私は子どもたちに、将来のスポーツの主人公として、スポーツを楽しむ力を身につけてほしいと期待したのだ。そして期待通り、多くの教え子たちが、地域の少年スポーツの指導者になったり、自分たちのチームを作って、長年にわたって活発に活動を続けているのは大きな喜びである。

 

 わが国の部活動には、光と影がある。同じチームで競い合ったり、助け合ったりして、友情を深めたり、大会で勝利して達成感を手に入れることができるというような光の部分と、健康を損なったり、仲間同士足を引っ張り合ったり、指導者によって偏った指導観を植え付けられてしまったりという影の部分も大きいのだ。

 

 わが国の大学スポーツ界が、この事件をきっかけに少しでも民主化されることを願うとともに、今回のタックル事件の被害者・加害者双方の若者の心身の傷が、一日も早く癒えることを祈らずにはいられない。




  • Posted by 2018年05月22日 (火) | コメントコメント(0

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