65才以上の高齢女性の万引きが増え続けているという。20年前の3倍になるそうだ。
男性高齢者の万引きは生活に困ってというのが多いそうだが、女性の場合は生活に困っているわけではなく、〝無意識の必要性〟から万引きという刺激的行動に走るのだと言う。
その背景には、高齢化社会における独居女性の孤独感の広がりがありそうである。
女性と男性の平均寿命には3~4才の開きがあり、更に夫の方が年上ということを加味すると、必然的に女性が残されることが圧倒的に多いことになる。
パートナーを喪うことを対象喪失というが、この対象喪失のダメージによってうつ状態になってしまうのは、圧倒的に男性が多いが、女性も決してゼロというわけではない。
ただ男性の方が一人残されると心が折れやすいということが広く知られているので、支援を求めやすい。
しかし女性の場合は、身の回りのことを含めて生活上困ることがないので逆に孤立しやすいのだ。プライドが高く人に助けを求めることが苦手な人、人に弱みを見せることに抵抗のある人、物事を人に頼らずに自分一人でトラブルを解決しようとする人など、プライドが高い人程、知らず知らずのうちにストレスを蓄積してしまいがちである。
その上、若い頃と違ってストレスキャパシティーはどんどん小さくなり、発散できないストレスは逆に大きくなる一方だとすれば、心のバランスを崩してしまうのも当然である。
そして、心が壊れるのを防ぐ必要性に迫られて、防衛機制の一つの手段として万引きが実行されるのである。
高齢者の孤独を癒すためには、何よりも気軽に心の内の寂しさや不安をさらけ出せるおしゃべり相手が必要である。今であればオンラインでのおしゃべり会やズームで相談もできる。電話でのおしゃべりも悪くはない。
ただ、何よりも自分は寂しがっている、誰かに助けを求めているという、自分のしまい込んでいる真の感情に気づき、あるがままの自分を自己認知するためには、カウンセリングが効果的である。
振り込め詐欺、高額商品の売り付け、リフォーム詐欺など、高齢者の不安や寂しさに付け込む詐欺や悪徳商法、更にはコロナ禍の中での孤独を防ぐためにも、高齢者に対する訪問カウンセリングを中心としたアウトリーチ型のメンタルサポートネットワークの確立が急がれなければならない。
- Posted by 2020年12月03日 (木) |
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