デルタ株の感染爆発の勢いが止まらない。
東京を始めとする首都圏だけでなく、全国的に医療崩壊が起こり、自宅で放置されたまま重症化し死に至るという悲劇も現実味を帯びてくる。まさしく戦時である。
ワクチンを2度接種した65歳以上の高齢者の感染もここにきて増えている。ワクチンを打ったから一安心だと思っていたら、いつの間にかゴールが先に逃げてしまって、もう一度走らされるようでストレスが溜まる。
夏が過ぎれば仲間たちにも会えるし孫にも会いに行こうと楽しみにしていただけに、その喪失感は大きい。
この感染爆発はオリンピックの強行開催を抜きに語ることはできない。
オリンピックの開会式に合わせて無理矢理作り出された4連休で、国民の我慢する気持ちは解き放たれてしまったようだ。
自粛メッセージと祝祭メッセージという全く異なるベクトルのメッセージが発信されれば、人々が自分にとって都合の良い祝祭メッセージの方を取り込んで、溜まりに溜まっていたストレスを発散させたとしても責めるわけにはいかない。
ましてやオリンピックが始まるとテレビはオリンピック一色になってしまい、緊急事態宣言下にも拘わらずコロナ関連のニュース報道番組はどこかに追いやられ、自粛メッセージさえも届かなくなってしまった。これでは国民に危機感を持てと言っても無理な話である。
責められるべきは、中止ないしは再延期という多くの国民の声を無視し、精神論だけで強行突入した政府とオリンピック関係者である。
オリンピック期間中は金メダル報道で目くらましができるが、オリンピックが終れば荒涼たる現実に嫌でも向き合わざるを得なくなる。
今の政権にはコロナに向き合う能力がないことは誰の目にも明らかだ。
我々にとって最大の不幸は、有事にこのような無能なリーダーを抱いていることである。
そして感染爆発もさることながら、膨れ上がった3兆円とも言われる出費や箱モノの維持費を含めたこのイベントの後始末は、これからわが国にとって長い間負の遺産(レガシー)となることだろう。
しかしもっと気になる負の遺産がある。それは若者たちに広がる、ダブルバインドによる政治不信であり、社会に対する諦めである。コロナ後の精神的復興は、第二次大戦後の経済的復興よりはるかに難しくなりそうだ。
若い世代には負の遺産ばかり押しつけて、申し訳なさでいっぱいである。
- Posted by 2021年08月07日 (土) | コメント(0)
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