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コラム

【12月号】一斉休校の傷跡
【12月号】一斉休校の傷跡

 コロナの収束に合わせ、カウンセリングの依頼が急増している。

10月から11月にかけて50組を超える家族の相談活動を対面とズームで実施した。

 その中ではっきりとした傾向が見られるのが、入学後に2ヶ月もの自宅待機を余儀なくさせられた222の子どもたちの数の多さである。

 マイペースで、新しい環境に慣れて生活をルーティン化するのに時間がかかるスペシャルタレント系の子どもたちは、一斉休校明けのハイスピ―ドの学校生活の展開について行くことができず、見捨てられ感や取り残され感を強めたようだ。

 マスクで先生と仲間の顔の表情が見えないことも不安材料の一つであったろう。

新しい環境に早くなじもうと奮い立たせていた気持ちが、肩すかしを喰っていつしかしぼんでしまい、それをまた奮い立たせることができないままの子どもも多かったことであろう。流れに乗るタイミングを逸してしまったのだ。

 スペシャルタレント系の子どもたちは、物事に臨機応変に対応することが苦手で、一つ一つのイベントを自分なりに消化できないと先へ進めないという特徴を持つ。

 学校の先生たちはコロナ対応に時間と労力を取られ、特別なニーズを抱えているスペシャルタレント系の子どもたちへの丁寧な手当てが不足したのではあるまいか。

 スペシャルタレント系の子どもたちは、短いスパンでの心にフィットする細やかな報酬を必要とする。

「みんな頑張ったね」「みんなのおかげだよ」などという抽象的で曖昧な声かけでは、意欲を湧き立たせる報酬にはならないのだ。

「ノートの文字が枠の中に納まるようになった」「前回に比べると仕上がりが10分も早くなった」「計算の間違いが半分に減った」「今週は忘れ物がなくなった」などのように個別的で具体的な報酬が必要である。

 一斉休校のもたらす負の遺産はこれから長いスパンで明らかになるであろう。

222の学年だけでなく、それ以外の学年の子どもたちも、行事や仲間との交流を奪われたロストジェネレーションと呼ばれており、将来的な後遺症が心配される。

 小中高の卒業アルバムに掲載する写真がないので、卒業アルバムの制作ができないので困っているという話を聞いた。マスクを外した顔は卒業アルバムの個人写真で初めて見るという笑えない話も起きそうだ。

 弱まっていた学校への求心力が更に弱くなり、親たちの学校との距離感も一気に大きくなってきたようだ。コロナ禍が、学校が主で親が従という時代遅れの関係性を大きく改善して、学校と親が対等な関係で子どもの問題を論議できるシステムに変わるきっかけとなれば幸いである。

 一斉休校は一方的にやりっ放しに終わって、アフターケアがすっぽり抜け落ちてしまっている。まるで何もなかったかのように忘れ去られている気がしてならない。

子どもたちの心の傷跡はぱっくりと開いたまま置き去りにされている。心の問題を置き去りにしては学校の未来はない。

 私はその傷跡を癒すために今日もせっせと不登校の子どもと家族のカウンセリングをしているが、多勢に無勢である。

教師の全員カウンセラー化は将来的理想ではなく、一日も早く実現しなければならない現実的課題である。




  • Posted by 2021年12月08日 (水) | コメントコメント(0

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