先日引退を発表したイチロー選手は、我が国において、最も代表的なスペシャルタレントであり、スペシャルタレント気質(ST気質)の持ち主であった。
私が、優れた五感力を持つ反面、人間関係構築能力に弱さがある人々をスペシャルタレント(ST)と呼び、その人たちの共通する気質をスペシャルタレント気質(ST気質)と名付けた時、最も強くイメージしたのがイチロー選手である。
イチロー選手は五感力の中でも特に視覚に優れ、素早く動く物を確実にとらえる動体視力に抜きん出ていた。そのために、スピードのあるボールにも鋭く変化するボールにも難なく対応できたのだ。
又、イチロー選手のこだわりの強さと集中力は、至るところで見ることができる。
徹底して自分の創り上げたルーティンにこだわり、一切ぶれることはない。周囲に変人と言われようと自分のやり方を貫く。マイペース・マイシステムにこだわり抜くのだ。
ベンチを出て、ライトの守備位置までは必ず同じ歩数で走り、バッターボックスでの仕草も常に一定の手順で行われ、引退試合まで変わることはなかった。
外食は同じ店で、同じものを食べ、自宅では朝昼兼用のカレーライスを食べ続けたと言われている。
彼の残した足跡は偉大なものである。
しかしその一方で、彼のコミュニケーションは周囲とのすれ違いを生むことも少なくなかったようだ。
質問者の問いかけとかみ合わない答え、背を向けてのインタビュー、ストレートな発言など、そこここにST気質の特徴がかいま見える。
今後の彼の人生が気になるところだが、組織とは波長が合わないであろうから、コーチや雇われ監督など中間管理職的な立場は、彼の才能をつぶしてしまうことになるだろう。
オーナーのように、チームを思うように支配できるポジションにつくなら、彼の豊かな感性が生かされ、面白いチームが生まれるであろう。
講演会や研修会でST気質を説明する時に、イチロー選手を引き合いに出すと、参加者全員が納得してくれた。そういう意味でもイチロー選手の存在はありがたかった。
心から「お疲れ様!」とエールを送りたい。
- Posted by 2019年03月24日 (日) |
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